1. 目の前に浮かぶ影の不安
ふとした時に、目の前に小さな影が浮かんでいて、動いて見えることはありませんか?
これは「飛蚊症(ひぶんしょう)」と呼ばれる現象です。
特に明るい場所や空、白い壁などを見たときに気づきやすく、最初は戸惑うこともあるでしょう。
飛蚊症がなぜ起こるのか、その原因と検査方法について、やさしく解説します。
2. 飛蚊症の原因
飛蚊症は、目の奥にある「硝子体(しょうしたい)」という、ジェル状の物質が関係しています。
硝子体には筋があり、光が当たった時に影が見えるようになります。
点や輪、糸くずのようなもの、大きなものなど様々な影になります。
これを生理的飛蚊症といいます。
このタイプの飛蚊症は、年を取るにつれて自然に起こるもので、多くの場合、数か月で影が薄くなり、あまり気にならなくなります。
急に飛蚊症が増えた場合の原因は、後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)であることが多いです。
硝子体が年齢とともに縮んだり、液体に変わったりすることで、硝子体を包んでいる薄い膜が網膜(目の内側にある神経の膜)から離れる現象をいいます。
その刺激により目の端で光がチラチラと見える「光視症(こうししょう)」が現れることがあります。
時にこれが、網膜剥離(もうまくはくり)や硝子体出血、視神経出血などの重大な病気に繋がることがあり、その場合は早めの治療が必要です。
これらの病気を正確に診断するためには、次に紹介する散瞳(さんどう)検査が必須です。
3. 飛蚊症の検査方法
飛蚊症が心配なときは、特に散瞳検査という検査が重要です。
散瞳薬という目薬を使って瞳孔(黒目の部分)を麻痺させ大きく開き、目の奥の網膜や硝子体を詳しく調べます。
瞳孔が小さいままだと硝子体が十分に観察できません。
- 散瞳検査をすると数時間、目がぼやけたり、まぶしく感じたりします。
個人差がありますが、車の運転は危険があります。
もし診察後に予定があり来院時散瞳検査ができない場合、できる範囲な視診だけで「大丈夫そう」と判断することになります。
「だいたいのところ大丈夫」な判断なので、症状が悪くなれば、すぐに再度眼科で散瞳検査を受けなければいけないことを覚えておいてください。
特に「ごましおのような」「墨がながれたような」飛蚊症がでればすぐに受診してください。
もし、あなたが「大丈夫そう」では不安ならば、後日なるべく早めに散瞳検査を受けに再診することをおすすめします。
4. 結論:飛蚊症との向き合い方
飛蚊症は、多くの場合、加齢による自然な現象であり、数か月で症状が軽くなることが多いです。しかし、突然の視野の変化や光を伴う飛蚊症が見られた場合は、できるだけ早く検査を受け、治療が必要かどうか確認することが大切です。診察で原因を確認することで、目の健康を守り、飛蚊症とも上手に付き合っていけるようになります。